アイルランド発フィンテック企業Nomupay、ソフトバンクから4,000万ドルの出資を受け、アジア市場への拡大を加速

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スタートアップ資金調達

2025年6月、アイルランドのフィンテック企業Nomupay(ノムペイ)が、ソフトバンクグループの子会社であるSBペイメントサービス(SBPS)から4,000万ドルのシリーズC資金調達を実施し、企業評価額は2億9,000万ドルに達しました。この出資は、アジア市場、特に日本への進出を加速する戦略的パートナーシップの一環として位置づけられています。

1. Nomupayの概要と成長戦略

1-1. 企業の成り立ちとミッション

Nomupayは、2021年に設立されたフィンテック企業で、クロスボーダー決済の複雑さを解消し、企業のグローバル展開を支援することをミッションとしています。同社は、アジア太平洋地域およびトルコにおけるWirecardの資産を取得し、事業を開始しました。

1-2. 提供するソリューション

Nomupayは、オンライン決済、ペイアウト、グローバルアクワイアリングサービス、カードリーダーなどを提供し、統合されたプラットフォームで取引データを一元管理できる「Unified Platform」を展開しています。これにより、企業は多通貨バーチャルアカウントや為替管理サービスを活用し、国際的な決済を効率的に行うことが可能です。(nomupay.com)

2. ソフトバンクとの戦略的パートナーシップ

2-1. 出資の背景と目的

今回の4,000万ドルの出資は、Nomupayのアジア市場への進出を支援する目的で行われました。SBPSとの提携により、Nomupayは日本の決済市場へのアクセスを強化し、国際的な企業が日本の消費者と取引する際の障壁を低減することが期待されています。

2-2. 日本市場へのアプローチ

NomupayのCEOであるピーター・バリッジ氏は、「日本のAPM(代替決済手段)をプラットフォームに追加し、世界中の加盟店が日本の消費者にアクセスできるようにする」と述べています。これにより、海外企業は日本に法人を設立することなく、日本市場での取引が可能となります。

3. Total Processingの買収と統合

3-1. 買収の概要

2023年11月、Nomupayは英国マンチェスターに拠点を置く決済処理ソリューション企業Total Processingを約3,500万ドルで買収しました。Total Processingは、定期支払い、リスク管理、データセキュリティコンプライアンス、決済統合などの分野で専門性を持ち、Nomupayのサービス強化に寄与しています。(tech.eu)

3-2. 統合によるシナジー

この買収により、NomupayはTotal Processingの技術スタックと顧客サービスを取り込み、加盟店への提供価値を高めています。バリッジ氏は、「Total Processingの技術スタックは加盟店の課題解決に焦点を当てており、我々のビジョンと一致している」と述べています。

4. 今後の展望と市場への影響

4-1. アジア市場への拡大

Nomupayは、インドネシア、シンガポール、ベトナムなどの東南アジア市場への進出を計画しており、地域の決済ネットワークを活用してコスト削減と透明性の向上を図っています。

4-2. 収益予測と成長戦略

同社は、2025年末までに年間総収益4,500万ドル、純収益2,000万ドルを超えると予測しており、12か月以内の収益性達成を目指しています。これにより、アジア市場における競争力を強化し、国際的な商取引の円滑化に貢献することが期待されています。

Nomupayのソフトバンクからの出資獲得とTotal Processingの買収は、同社のアジア市場への進出とグローバルな決済ソリューションの強化に向けた重要なステップです。日本市場へのアクセスの容易化や、統合プラットフォームによる効率的な決済処理は、国際的な企業にとって大きな利点となるでしょう。今後、Nomupayがどのようにアジア市場での存在感を高めていくのか、注目が集まります。